上場インデックスファンド日経225(ミニ)<愛称:上場日経225(ミニ)>(1578)のロゴ

日興アセットマネジメントが22本目のETFを設定、上場させます。今回の新しいETFの名称は、「上場インデックスファンド日経225(ミニ)<愛称:上場日経225(ミニ)>(1578)」です。連動対象指数は日経平均株価です。ETF投資家の方々は、すでに日興アセットには日経平均株価(日経225)に連動をめざすETF「上場225(1330)」があるのになぜと思われるかと思います。今回は、このETFの設定・上場の意図をお話ししたいと思います。

連動対象指数はやっぱり日経平均株価

個人投資家であろうと機関投資家であろうと、日本の株価の指数として普及しているのは、やっぱり日経平均株価だと思います。単純平均株価で値がさ株の影響を受けやすいなどと言われますが、日本株市場を語るには日経平均株価が欠かせません。この日経平均株価に連動するETFの使い勝手を良くすることが日本のETFの発展には欠かせないという認識がありました。個人投資家、機関投資家、指定参加者(証券会社)の方々とのお話しの中で、挑戦しなければいけないと思うに至りました。

個人の投資家の方々からのニーズ

今回の新しいETFの名前に(ミニ)とついているように、すでに市場に上場している日経平均のETFにはないような小口資金でも売買ができる商品にしました。市場での取引単位を1,000円程度で売買が可能できるように、上場日経225(ミニ)(1578)の当初設定価格を1口1,000円としました。現在、日本に上場している日経平均株価に連動をめざすETFの売買単位が11,500円から115,000円程度(2013年3月1日現在)ですので、100分の1から10分の1の単位になります。

小口資金での売買については、度々投資家の方々からの要望としてお聞きしていました。そのご要望にお答えするのに、既存ETFの売買単位を引き下げる方法も考えました。当社の日経225のETF、上場225(1330)の取引単位が10口なので、1口まで下げるという方法が無い訳ではありません。しかしながら、この引き下げを行なっても他社の提供しているETF(11,500円程度)と同水準の取引額となり、なんら差別化できません。

1口をさらに小口化を実現するにはETFの受益権の分割を行なわないといけませんが、手続きが極めて困難なことや取引価格が変わって連続性が保てなくなります。さらに、現在の上場225(1330)の市場流動性に悪影響がでることを懸念しました。信用取引の品貸料の単位は1口あたり5円ですが、売買単位が1口以外のものは売買単位で除した金額(日証金:貸借取引株超過銘柄等に対する取扱い)とされています。そのため上場225(1330)は10口単位の取引になっているので1口あたり50銭となり、一方他の主要な日経225のETFは1口5円です。そのため信用取引で上場225(1330)がよく使われているということがあり、売買単位の引き下げは、そのような投資家が離れてしまうことになり、流動性の低下につながることが考えられました。小口の売買機会の提供には別の新しい日経225のETFを立ち上げる必要があったのです。

さらに、まだ実現してはいないのですが、個人投資家の方から強い要望のあるサービスを見据えたスキームを取り入れました。そのサービスとは非上場投資信託にはあるもののETFには無い「定時買付サービス」です。非上場投資信託では、当初価格1口1円として価格に小数点未満(万分の1円)を持たせることによって、円単位の追加設定をすることによって定時買付サービスに対応しています。その前提として非上場投資信託では現金を信託勘定に入れて追加発行をする形態になっていますが、現物設定型の日経225のETFは、日経平均株価に採用されている株式のバスケットを信託勘定に入れて追加設定をします。現金を入れる方式は認められていません。現在、最低の設定単位は5億6,500万円程度(2013年3月1日現在)となり、小口の追加設定はできません。

上場日経225(ミニ)(1578)は非上場投資信託と同じように現金で設定・解約を行なう方式のETFです。そのため、当初価格1口1円単位にすることも不可能ではないのですが、日本の取引所の呼び値の最低が1円となっており、円未満の単位での呼び値ができません。そのため、取引の呼値が粗くならない単位として1口1,000円としました。しかしながら、これでは現在の定時買付サービスのフローには乗りません。この1口1,000円を所与とすると、1口単位の発行を1口未満の小数点単位での発行が可能にならないといけないのですが、現状のシステムでは対応ができません。定時買付サービスについては、引き続き将来の課題として考えたいと思っています。

機関投資家と指定参加者(証券会社)からのETFの受け渡しに関するニーズ

機関投資家のETFのまとまった売買には指定参加者と呼ばれる証券会社の市場での働きが重要です。市場での取引が多い日経225のETFでも、その例外ではありません。出来高の多いETFでも1日50億円はなかなかありません。まとまった単位(たとえば50億円)の機関投資家の売買要請もあります。そのため、ETFの売買に取り組む証券会社では、ある程度まとまった額のETFを在庫として保有して、そのような大口の売買をする機関投資家に対応しています。

それでは、もしETFの在庫が無い時に、まとまった金額の買い付け要請があった場合、証券会社はどのような対応をするのでしょうか。証券会社はETF設定のための日経225の株式バスケットを調達してからETFの設定をすることになるのですが、株式バスケットを市場で買い付けると受け渡しは約定から4日目(約定日含む)になり、その4日目に証券会社がETFの設定申込みを行なうと、5日目の午後にETFを手にし、機関投資家にはETFの申込みから6日目に受け渡しができるようになります。さらに、ETFには、保有株の権利処理(配当が中心)の関係で設定・解約(交換)を受け付けていない日があります。そのため、受け渡しがさらに遅れることがあります。受け渡しを待てない機関投資家にとっては大変困ったことになります。また、在庫を持つ証券会社も在庫保有に伴なう金利負担があります。

しかしながら、上場日経225(ミニ)(1578)は現金で設定をするETFなので、機関投資家の買い付け要請があった翌日に設定を申し込んでも、その翌日に証券会社が信託口座に資金を入れれば、その日の午後には証券会社はETFを手にすることができ、機関投資家の要請から4日目の朝の受け渡しに間に合わせることができるのです。また、上場日経225(ミニ)(1578)は、日本の祝祭日を除き原則として毎日設定の申込みができるので、機関投資家の要請から4日目の朝の受け渡しに間に合わなくなることはありません。上場日経225(ミニ)(1578)は、(ミニ)といっても証券会社が在庫を保有しなくとも大きな買い付け要請に機動的に対応できる大型商品、証券会社にとっては在庫保有負担が少なく済む、取引が円滑にできる流動性の高いETFなのです。

さらに、機関投資家の中には、ETFを非上場投資信託と同じように基準価額で現金解約したいというニーズもあるようです。投資家からの解約(基準価額で現金解約、委託の解約)については、あまり証券会社では対応をしていないようですが、上場日経225(ミニ)(1578)の上場当初からの指定参加者であるSMBC日興証券では対応することが可能とのことです(2013年3月4日現在)。こちらも合わせてご活用いただければと思います。

上場日経225(ミニ)の注意点

一つ税金について次のことにご注意ください。上場日経225(ミニ)(1578)は、税法上の区分が通常の日経225ETFの特定株式投資信託ではなく上場証券投資信託となっています。よって、個人の投資家には配当控除の適用がありません。また、法人投資家には益金不算入制度は適用されません。この扱いは外国株式・債券に投資をしているETFと同じになります。

以上、お話ししてきたように日興アセットの新しいETF、上場日経225(ミニ)(1578)は売買の小口化と取引(設定、多額の売買)が円滑に取り組めるチャレンジングなETFです。既存の上場225(1330)と合わせて、御活用いただき、投資家の皆さまの資産運用のお役に立てればと思っております。引き続き日興アセットのETF、上場インデックスファンドをよろしくお願い申し上げます。

以上